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崎山一葉
こんにちは。HDXセルバンクの動画をご覧いただきまして、ありがとうございます。進行を務めさせていただきます、崎山一葉です。第2回目は、プレコンセプションケアとプライベート精子バンクに関する動画です。前回の動画に引き続き、「男を維持する精子力」という本も出版されており、臨床と研究分野の第一人者でいらっしゃいます岡田弘先生にお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

岡田弘先生
ただいまご紹介いただきました、獨協医科大学埼玉医療センター、リプロダクションセンターの岡田でございます。プレコンセプションケアという、少し聞き慣れない言葉についても解説したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

崎山一葉
よろしくお願いします。前回は精子力についてお話を伺いました。今回は未来に向けた心構えや社会的な取り組み、トレンドについてお聞かせいただければと思います。早速ですが、先ほどお話にも上がりました、最近プレコンセプションケアというキーワードを聞くようになったという印象ですが、これはどういうことを指すのでしょうか。

岡田弘先生
これは、もともと女性側を中心に発達してきた概念です。どういうことかと言いますと、妊活を始める前から自分の体について、もともと調子の悪かったところを是正しておくことによって、お子さんもできやすくなりますし、さらに大事なことが、生まれてくる子供の健康の維持につながるということがわかっております。

これは女性だけではなく、男性にも同じことが言えるということが、多くの臨床研究や疫学的研究からわかってまいりました。ですから、プレコンセプションケアという概念は、女性だけに当てはまるのではなく、現在では男性にも当てはまるということがわかっております。

特にプレコンセプションケアというのは、妊娠を目指しているその時期だけではなく、若い時に、いかに将来の自分の健康を延伸することを考えて、健康に配慮するような生活を送るかということです。こういったことが妊孕性を高めるだけではなく、その人の寿命を伸ばしますし、さらに大事なのが、次世代の健康を守ることにつながるということがわかってきました。

崎山一葉
なるほど。前もってケアすることの大切さを感じました。その中で、男性が行うべきプレコンセプションケアというのは、具体的にどういったことがあるのでしょうか。

岡田弘先生
前回もお話しました7ヶ条にありますように、一つは精子形成に悪影響を与えるような薬剤を使わないこと、精巣を中心とした陰嚢が温まらないようにすることです。例えば、熱いお風呂に入りすぎない、サウナをあまり使わない、それから股間部や陰嚢部に摩擦が加わらないようにするために、長時間の自転車に乗らない、ぴっちりした下着を着ないといったことも大事です。

最近特にお願いしているのは、これに加えて、これから妊活の時代、特にお子さんを作ろうとする妊活世代の人たちが注意すべきことは、20代、30代の健康への取り組みが、その30年後に効いてくるということです。

つまり、自分が30代の時に健康に気をつけて生活をしたことによって、健康寿命が延伸します。がんにもかかりにくくなりますし、メタボリック症候群にもなりにくくなるということがわかっております。

先ほども少し述べましたが、妊娠前から健康を意識して、自分の健康を増進するように努めたカップルの子供は、ほかの病気にかかりにくいということがわかってきています。ですから、将来の次世代の健康を維持するためにも、今の若い時の健康は非常に大事です。

そのための一番のチャンスは、お子さんを作ろうという時です。なぜかと言いますと、働いているに考えようとしないことが多いのですが、自分の子供の将来に関わってくると考えれば、真面目に取り組むことができるのではないかと思います。

具体的に言いますと、先ほどの7ヶ条を守るということはもちろんですが、もう一つ、メタボリックシンドロームに属するような数値をなるべく減らしていくことです。つまり、血圧、血糖値、中性脂肪といったものを正常範囲内に収めていく。尿酸値も、痛風予防のためにしっかりとした医療機関を受診して管理することが大事です。

もう一つは睡眠です。睡眠に関することは、非常に大事だと最近言われています。これからデータが出てきますが、睡眠の障害が妊孕性を低下させるということがよくわかってきています。睡眠障害はなかなか治療方法が限られていますが、最近は病院に行かなくても、家で簡単に自分の睡眠の質を測ることができるようになりました。その中で一番よく見られるのが睡眠時無呼吸です。

睡眠時無呼吸を若い時に治療することによって、精子の質を上げることができるということがわかっております。妊活を始めようという年齢に達した時には、その先に思いを馳せて、自分の体のケアをしてみる。自分の体をケアするためにどうしたらいいかを一度考えてみることが良い機会だと思います。そのためにプレコンセプションケアというきっかけはとても大事です。

崎山一葉
最初の30年のケアがまた自分の将来につながって、そのケアが自分の子供に影響する。そう考えると、相当長い期間、健康を保つ必要があるということですね。

岡田弘先生
その通りです。自分だけではありません。次世代に影響を及ぼしていることが重要なのです。

崎山一葉
なるほど。それでは、少し話が変わりますが、精子バンクについて伺います。不妊治療の一環として精子バンクがあると捉えてよろしいでしょうか。

岡田弘先生
そうですね。これまで精子バンクと言いますと、一番古くは、出征している兵士が戦死した後に子供ができるようにと、精子を保存しておくという形で、兵士たちの精子を預かったことが起源だと言われております。

精子は生殖細胞の中で、一番凍結保存がしやすいものです。ですから、かなり昔から精子の凍結は行われてきた歴史がございます。この精子の凍結方法に関しては、かなり確立した方法がございます。精子を凍結しておくことがプレコンセプションケアにつながります。なぜかと言いますと、女性の卵子のバンキング、つまり未受精卵の凍結保存が行われているのと同様に、男性版もあり得るわけです。

現在までにも、自分の将来使うために精子を凍結しているケースとしては、がんの化学療法を始める前に、自分の精子形成が悪くなることがよくわかっている疾患ですが、そういう治療を受ける患者さんが、治療前に精子を凍結しておくということが医療的に行われているわけです。しかし、病気でない方が、将来自分の状態に備えて精子を凍結しようというのは、これからの新しい方法だと思います。

この一番の根拠になったことは何かと言いますと、人の精子も老化するからです。ちょうど20年ほど前になりますが、河合蘭さんの『卵子老化の真実』というベストセラーが出ました。卵が35歳を越えた状態から、だんだん質が低下していくということで、妊娠が起こりにくくなったり、流産率が高くなったり、生まれてきた子供に染色体異常の確率が高くなっているということから、女性は医学的には卵が老化していることが大きな原因だと言われてきたわけです。卵というのは新たに作られるわけではなく、もともとあった卵が成熟して、排出されてくるだけです。

それに比較して精子は、何億も作られてくるわけですから、老化しないだろうと考えられていました。

ところが最近の研究で、精子にも35歳問題があるということがわかってきました。つまり、35歳を境界として精子の質が低下するということです。ただし、すべての男性の精子が同じように35歳から急激に悪くなるというものではありません。女性の場合は、概ね35歳を境として、卵の質が悪くなりますが、男性の場合は、35歳を境として精子の質が悪くなる人と悪くならない人がいます。いずれにしても徐々には低下していきますが、その低下のスピードが早い人と早くない人がいるということがわかってきました。

自分がその早い人になるか、早くない人になるかは事前にわかりません。ですから、男性の場合も、将来の自分の精子力の低下に備えて準備しておくことはとても大事です。そのためには、30代前半ぐらいまでに自分の精子を調べてみて、状態が良くなければ、あるいは将来的に自分の子孫を残したいのであれば、病気でなくても、将来の自分のために精子を保存しておくことも大事でしょう。

崎山一葉
このプライベート精子バンクというのは、誰でも気軽に利用できるものでしょうか。

岡田弘先生
そうですね。これから始まるプライベート精子バンクは誰でも利用することができます。しかもHDXセルバンクで行うプライベート精子バンクは、来院する必要がありません。すべて郵送によってできるということで、非常に簡便に行うことができるようになると思います。

さらに、卵子を凍結する場合は採卵をしなければなりません。採卵するためには、過排卵というホルモン処理をして、たくさんの卵が排出されるようにしなければならないため、ホルモン補充療法が必要です。採卵するには、卵巣に針を刺して、侵襲的引処理をしなければ取れません。

男性の場合は、精子を採取する時に手術が不要です。非常に手軽で、身近なものとして利用することができると考えています。

崎山一葉
そうですね。プライバシーも守られて、すごく安心感もありそうですね。

岡田弘先生
おっしゃる通りです。

崎山一葉
改めての質問になりますが、プライベート精子バンクサービスの社会的意義とは何だとお考えでしょうか。

岡田弘先生
今後起こり得る精子力の低下による妊孕性の低下を予防できることが一番大きいと思います。さらに、この妊孕性の低下を予防することができれば、少子化問題に関しても少しは効果があるのではないかと思いますし、自分のライフスタイルを決める時に、かなり自由度が上がってくると考えています。

崎山一葉
なるほど。それでは自分の人生プランを考える中でも、とても大きな役割を果たすということですね。

岡田弘先生
そうです。さらに、プレコンセプションケアを行う、行わないにかかわらず、若い時、特に10代は少し精子の質が悪い場合もありますが、20歳を越して、30代前半ぐらいまでの精子であれば、凍結保存しておくことによって、凍結した日から時間が止まり、永遠に年を取らないわけです。一旦液体窒素の中で眠った状態になりますので、この状態にしておけば、将来、自分が40歳の時に使う時に、20歳の時に凍結保存した精子は20歳の時の精子なのです。

ですから、身体そのものとは精子の状態が違うということになります。様々な体を蝕むような要因に触れる前の精子がそこに存在するということです。これは女性の場合の卵子も同じことが言えると思います。

崎山一葉
なるほど。この動画をご覧になられている方も、まだ先でいいかなと思っていたら、少し考え直した方がいいかもしれませんね。

岡田弘先生
そうですね。それと、繰り返しになりますが、処置をする時に侵襲がないと痛みがない、費用的にもはるかに安く、プロセスも優しく、体にも優しいという方法だと思います。

崎山一葉
ちなみに痛みがある治療というのも結構あるのでしょうか。

岡田弘先生
この場合はありません。

崎山一葉
なるほど。それであれば、本当に気軽に保存するという選択肢もありかもしれませんね。

岡田弘先生
その通りです。これが誰かのために使うのではなく、自分のために使うというところがキーポイントです。

崎山一葉
ありがとうございました。

 

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